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【相談室】決算をみてもらうためには

役所から発する情報はどの分野においても丁寧で詳しいが、複雑でわかりにくくなっている。
それは、職員が職責としてできるだけ多くの情報を的確に伝えようとすることも一因となっている。
決算情報もその一例である。
精一杯詳しくみせようとした結果、その情報はほとんど住民に届いていないのが実態であろう。
そこでどうすればいいのか。
決算で財政事情のすべてをみせようとするのではなくステージをわけてみせることである。
その際に大切にしたいのは最初にみせる情報である。
最初の情報はできるだけ簡潔にわかりやすくが基本となる。
参考となるのは、民間企業(上場企業)の決算短信である。
企業の「いま」をみせるための最も重要な情報源として投資家に提供されている。
その内容は、情報を絞り込んで簡潔にしている。
これを参考に自治体の決算情報も要点をまとめて「いま」をみせることにするべきと考える。
まずは、みせる情報を絞り込むことだ。
多くの情報の中で、①財政収支の状況、②負債(地方債)と資産(基金)の状況、③財政指標、の3つに絞ることを提案したい。
それ以外の決算情報は、次のステージとして地方自治法に基づく財政状況の公表や決算認定の際の議会資料で詳しく示せばいい。

最初に、みせる情報について提案してみたい。
①の財政収支の状況はシンプルに当該年度の実質収支と実質単年度収支とする。
視点は当該年度の税収、地方交付税などの歳入で歳出が賄われていて、不足分を基金からの投入で補っていないかである。
いわゆる実質黒字なのか赤字なのか、黒字の場合はどれだけの黒字になっているのか、そこにはシンプルな解説を付けておきたい。
次に、②の地方債残高は、残高の現状だけでなく、地方交付税で国から財源保障を受ける部分を除いた実質の地方債残高の「いま」をみせる。
自治体が自己責任の範囲で返済が必要な総額をみせておく。
また、基金残高も財政調整基金と減債基金の状況が前年度に比べどう変化しているかをみせる。財政運営上の資金としてバッファーはどれだけあるのかが大切な視点になる。
次に、③の財政指標では多くの指標がある中で実質公債費比率と将来負担比率に絞って「いま」をみせる。
自治体の財政運営で大切になるのは、借りすぎにより財政悪化を招かないかである。
「いま」をみせる実質公債費比率と「いま」が「この先」どう変化するのかを予想する将来負担比率をみせることで安心(懸念)材料を住民に提供できる。
この2つの指標は5年程度の動きをグラフでみせることができれば財政改善の方向性が見えるのでさらに質が高まる。

住民にみせるということは、「大丈夫ですか」の問いにシンプルに答えることである。
その意味でみせる情報を絞り込んでわかりやすく発信する工夫が今、自治体に求められている。
回答者

川西市
松木茂弘さん
1983年川西市入庁。企画財政部財政課長、総合政策部長等を経て、現在は川西市副市長を務める。著書『自治体財務の12か月』『自治体財政Q&Aなんでも質問室』ほか多数。
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