財政課あるある川柳

自治体の中枢を担う部署として大きな責任を背負いながら切磋琢磨しているのに、なぜか敵視されてしまうことが多い財政課…。
そんな財政課の“悲哀”や“情熱”を5・7・5に込めて詠む「財政課あるある川柳」。
第1回 財政課あるある川柳入賞作品
※作品下の文章は作者コメント
要求書 起債できるが 記載なし
財政課員なら誰しもが特財の有無に目を光らせると思いますが、そこに担当課との温度差を感じる場面も少なくありません。
起債が使える事業の財源を一般財源のみで要求してきた、これはそんな時に思い浮かんだ詩です。
評 財政課なら思わず「そこ、大事なんです!」と声が出そうな場面を、ダジャレの軽やかさで巧みに封じ込めた一句です。事業課は「使う」に目が向き、財政課は「どう賄うか」に目が向く。その温度差をコミカルに描きつつ、実は財源意識のギャップという本質的な課題へとそっと導いていきます。もし全職員が財源まで想像して要求書を作れたなら…査定はまるで別世界。そんな未来図さえ思い描かせる、軽妙さの中に深さが光る一作です。
予算書に 書けぬ本音の 査定術
〇円×〇件 数字で表現できない、人情と現実のさじ加減。
評 数字だけを相手にしているようで、実は人の思いと現実の狭間に立ち続けるのが査定の仕事です。しかし、その絶妙な「さじ加減」が予算書に載ることは決してありません。本句は、その不可視の技術を、軽やかな言葉であぶり出しました。もしこの「査定術」を共有知として言語化できたなら…財政課も事業課も、互いに歩み寄れる未来が拓けるはず。そんな希望まで感じさせる、余韻の深い一句です。
年度末 切られる前に 使い切れ
使い切り予算は来年度の予算執行を楽にする「必要悪」と考えているお役人に贈る言葉。
評 節約すれば翌年カットされてしまう…予算執行の現場に潜む静かな矛盾。本来なら称賛されるはずの工夫が、むしろ逆風として返ってくる。そんなねじれた構造を、年度末の慌ただしさとともに鋭く切り取った一句です。使い切り予算を単なる「悪習」とせず、その背後にある制度の影まで照らし出している点に、作者の優しさと現場のリアリティがにじみます。「何を切り、何を守るのか」、静かな問いが読後に残る一句です。
エクセルが 優秀だけに 心配だ
素晴らしいマクロが組んであると嬉しいのですが、今後、条件が変わったら修正できるのか、心配してしまいます。小心者の集計担当より。
評 優秀なマクロが助けにも脆さにもなる。自治体実務にあるExcel文化の光と影を、17音で巧みに切り取った一句です。便利な仕組みほど引継ぎで不安が募るという、現場なら誰もが覚えのある“ヒヤリ”を的確にとらえています。制度改正や人事異動のたびに不安が募るという逆説が効いており、属人化とデジタル化の狭間で揺れる組織の課題を静かに照らし出す一句です。
名作
惜しくも入賞を逃したものの、眠らせておくには惜しい作品たち
敗北の方程式はJFK(人件費扶助費公債費
2005年の阪神タイガースリーグ優勝に貢献したリリーフ投手3名の頭文字を取った「勝利の方程式JFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)」はその語呂の良さとポジティブなイメージから一世を風靡しました。それに対し、義務的経費である人件費、扶助費、公債費は地方自治における敗北の方程式と言えるのかもしれません。
寒夜でも 数字そろえば 心ぬく
寒さが冷え込む当初予算の時期にシステムやExcelと向き合い、苦戦していた数字の確認が完了し安堵する姿を思い浮かべました。
あれもやれ 基金頼みで うえしのぎ
財源が厳しい中でも、新しい事業を打ち上げなければいけないのが世の常です。
財政課はギリギリまで調整をしますが、最後は基金頼み、という予算編成での苦悩を詠っています。
基金(飢饉)と飢え、飢えと上(長)をかけています。
いつまでも あると思うな 寄附と基金
今やふるさとを想う国民からの浄財を当てに予算を組まなければならないほど自治体の財政は厳しい。
先人の積み立てた基金への過度な依存は危険。
持続可能な予算編成が求められています。
カットカット 査定はドラマ 一発勝負
ドラマの撮影現場ではカチンコ!財政課はガチンコ!予算削減のため、リテイク不可の現場主義。
物価高 予算足りない 上がる悲鳴
物価高、人件費増、基金充ててと一時凌ぐ
