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【財オタ深堀メモ】NHKの抱える「闇」と受益者負担

 
 
 
今回の財オタ
元足立区
定野 司 さん
1979年足立区に入区。財政課長時代の2002年に包括予算制度を導入。2022年、財ラボ代表理事就任。主な著書に「自治体の財政担当になったら読む本」(学陽書房)などがある。

自治体がNHKの受信料を支払っていなかったというケースが相次いでいます。 受信契約義務は放送法に基づくもので、最高裁判所もその合憲性や受信契約の成立を認めています。 そのため自治体では、「制度の是非」よりも、コンプライアンス上のリスクとして受け止められているのが実情です。 今回は、この制度そのものが抱える「闇」を深掘りしたいと思います。
そもそも、NHKが税とは別に受信料を徴収するのは、放送の中立性、すなわち、歴史的な国家統制への反省を踏まえ、政府の意向によらない放送を担保するためだと説明されてきました。
しかし(昭和の匂いの残る)政府でなければ、NHKは誰の意向で放送しているのでしょうか。 意思決定の所在が見えにくいまま受信料を払い続けている国民に改めて問い直したいと思います。 あなたは、なぜNHKの受信料を支払っているのですか?(チコ似)
「税」は、市場で調達できないサービスを社会全体で支えるための仕組みです。 しかし、受信料を税で賄えば政府依存が生じかねない。 だからこそ、税とは切り離し、個別に受信契約を結ぶ。 だとすれば次に問うべきは「負担原理は何か」という点です。 個別契約で支えるのであれば、受益者負担の原則をより明確に採るべきではないでしょうか。
同じ公共的性格をもつ新聞は、購読するかどうかを個人が選び、その費用を購読者が負担しています。 なぜテレビ放送だけが、この原則から外れているのでしょうか。
テレビ放送が公共の電波を占有するから、という説明も、ネット社会がここまで進んだ今となっては、それだけでは説得力が足りなくなってきています。
ひとつの案として、NHK受信料をテレビ購入時に上乗せする仕組みが考えられます。 これにより、公共放送に伴う負担を価格に内部化し、負担の所在を分かりやすくできます。 また、「契約義務が分かりにくく、後から請求される」という情報の非対称性も解消されます。
さらに、NHKを受信できないテレビを流通させれば、視聴しない人は安価な機種を選べるようになり、価格競争を通じて受信料負担が市場の中で吸収されていく可能性もあります。 自治体や学校、公用車などで意図せず受信契約義務が発生する事態も減り、台帳整備や監査対応といった事務負担の軽減にもつながります。
 
自治体の立場からも検討を提起する価値があるのではないでしょうか。