page icon

【旬の財政】事業評価と予算

 
2024年に財ラボが実施したアンケート調査では、予算編成全般の課題として、全体の半数近い自治体が「事業評価との連動」を挙げている。 評価は実施していても、予算編成で十分活用されていない。 その背景には、いくつかの構造的な壁が存在する。
第一は情報の壁である。 評価は企画部門、予算は財政課と役割が分かれ、評価と予算で事業の粒度が異なる場合も多い。 さらに、別のシステムや様式で管理されていると、情報を突合するだけでも負担が大きい。 こうした整理には労力を要するが、総合計画に基づく政策体系(評価視点)と予算上の事業の関係性を構造化することで、事業間比較や経年での全体把握が可能になる。
第二は周期の壁である。 N+1年度予算の判断材料となるのはN―1年度の実績であり、最新の成果を十分に反映しにくい。 期中の進捗を簡易に把握できる指標や活動を設定しておくことは、この時間差を埋める現実的な手段となる。
第三は自己評価の壁である。 担当課による評価は「どの事業も必要」という結論になりやすい。 だからこそ、事業単体ではなく、政策や分野単位で相対的に見る視点が欠かせない。 目的に対して手段や指標は適切か、真に課題解決につながっているか。 過去の評価結果や関連指標の推移を整理し、論点を可視化できれば、判断の質と速度は大きく変わる。 総合的な検証は負荷が高く、職員の経験差も出やすいため、生成AIを補助的に活用する動きも出始めている。
事業評価の目的は、評価結果そのものを整えることではない。 限られた財源の中で、どの事業に、どの程度配分するかを判断し、継続的に見直せる状態をつくることにある。 すべてを制度で解決する必要はない。 査定の場で問いを一つ増やすこと。 その積み重ねが、評価を財政運営につなげていく。