【財オタ深堀メモ】物価高騰 ものの値段はなぜ上がるのか

| 今回の財オタ |
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| 千葉県佐倉市 |
| 塩浜 克也 さん |
| 2022年から4年間、財政課長を務め、2026年より監査委員事務局長。主な著書に「月別解説で要所をおさえる!原課職員のための自治体財務」(第一法規) |
お店でラーメンの値段を見るとき、千円を超えても驚かなくなりました。
ちょっと前まで「ラーメン1杯で千円かよ」と思っていたのですけれども。
渡辺努(わたなべ・つとむ)東京大学名誉教授は、賃上げが物価の上昇と同水準に行われれば「賃金と物価の好循環」が達成されると指摘します。
経済情勢は、基本的にはインフレ傾向が望ましいとのこと。
労働のインセンティブとして、賃金水準の上昇は望ましい傾向であるからだそうです(「インフレの時代 賃金・物価・金利のゆくえ」[中公新書])。
日本では、これまで国際競争力を高める手段として、賃金を低く抑えることが長く行われてきました。
賃金が抑えられていれば、購買力は上昇しません。
結果として、物価が上昇しないデフレ傾向が長く続いてきたわけです。
しかしながら、コロナ禍以降における海外の物価上昇の影響は、お値段そのままでも袋菓子の中の数量が減少するなどの形で、近年は私たちの身近に表れてきました。
このような「ステルス値上げ」だけではなく、インフレ傾向が価格に直接反映されにくい状況を「価格の硬直性」というそうです。
小売店で値札の張り替えに手間がかかることもありますが、価格の上昇に忌避感が強い消費者の意識が大きな要因であるとのことです。
では、消費者が価格の上昇を許容したらどうなるでしょうか。
渡辺先生は、2025年からのコメの急激な価格上昇について、不作や流通経路の問題はあったにせよ、基本的にはコメ不足のような供給側の原因ではなく、需要側に価格上昇の誘因があったと分析します(前掲書)。流通経路の倉庫には、コメが積み上がった現状があるからです。
賃金の上昇傾向を踏まえ、消費者に「価格の硬直性」を突破する意識の変化があれば、物価はグンと上向くことが考えられます。
もっとも、賃上げの効果が及ばない世帯の家計に、物価の上昇は大きなダメージを与えます。
自治体には、物価高騰による経費増への対処だけでなく、住民の生活支援を含めた総合的な政策判断が求められてきています。
私たちは、「ものの値段が上がる」経験がなく30年を過ごしてきました。
これは、現在働き手である多くの世代が未経験の事態ということです。
これからは、発想を大きく変えて対処しなければいけない局面も出てくるでしょう。
千円を超える値段のラーメンに物おじしながらも、えいやっと卵を追加してみましょうか。
