▪️

新しい自治体財政を考える研究会メルマガVol.4

こんにちは。
「新しい自治体財政を考える研究会」事務局の小澤です。
今年度も残すところ1日となりました。
このメルマガを読んでくださっている方の中にも、4月から財政課を離れる方がいらっしゃるかもしれません。
財政部門でのご公務、大変お疲れ様でございました。
新たな職場でも、ご活躍いただくことを心よりお祈り申し上げます。
また、当研究会で設計する「新しい予算編成フロー」は財政課の皆さんはもちろん、原課の皆さんにとってもお役に立てるものになると考えております。
今後もnoteなどで当研究会の動向を見守っていただけますと幸いでございます。
 
さて、今回も第1回愛好会での議論の様子をお届けいたします。
前回同様、noteの概要と、先日お送りしたver0をご覧いただいてから読んでいただけますと、より理解を深めていただけるかと思います。
 
※メルマガのバックナンバーをご希望の方は事務局・小澤までご連絡ください。
 
★第1回愛好会のnoteはコチラ
 
【本日のテーマ】
・「枠」って何だろう?
【登場人物】
財オタ・今村さん(福岡市)
財オタ・川口さん(大東市)
財オタ・長久さん(高岡市)
事務局・徳原 
 
今回のフローではコミュニケーションに焦点を置いて設計するため「どの事業を誰が査定するのか」といった点を整理する必要があります。
そのためには「事業」と「誰が」の部分を類型化する必要があります。
そこで、ver0では枠配分の導入有無に関わらず使える事業の類型化として、下記のように発案しました。
枠内で要求/査定をする事業:原局内で査定するものと考える。
枠配分を導入していない自治体は該当事業無しとする枠外で要求/査定をする事業:財政課・企画課、首長などが査定するものと考える。
枠配分を導入していない自治体は全事業が該当。
この「枠内で要求/査定をする事業」の定義設定から、議論が展開されました。
今村さん
「枠内要求/査定事業」の「査定は原局内で行われる」というルールについて、枠予算の原則はその通りですが、現状では「枠内要求/査定事業」であっても財政課の査定が入る自治体もあります。
そのような自治体が定義から外れてしまわないよう、表現に工夫が必要。
川口さん
大東市の場合は「枠内要求/査定事業」に財政が手を入れることは結構あります。
市の方針に反する場合や、枠配を超えてしまっている場合は、介入することが多いです。
あと、そもそも枠配の中になるのか、外になるのかの基準もそれぞれの自治体のノウハウがあります。
他の自治体の方と話をすると「それが枠配なの?」「それが枠配外なの?」とびっくりすることも多いです。
原則論で言うと、査定は原局・原部内というのが正しいわけですが、やはり市の方針から外れてしまう場合には、手を入れるということがあります。
長久さん
私も、基本的には川口さんが話していることと一緒です。
基本的に、財政課で設定したシーリングに沿って上がってきた要求は尊重し、あまり査定をするつもりはありませんが、本来枠内で要求すべきものを、シーリングにはめるために枠外にしているような部局も実際にはあります。
そういう所に対しては枠内でも査定をしています。
原則論で言うと正しい表現だとは思いますが、財政課が手を入れることは珍しいことではないと思うので、財政課の皆さんは違和感を抱くかもしれません。
今村さん
枠内事業を財政課が査定することをイレギュラーな扱いにするのではなく、「『枠内要求/査定事業』でも財政課で中身をチェックして必要な調整を行う」ということがプロセスとして「ある」という前提で定義しましょうか。
そうすると、枠外要求との違いが分かりにくくなりますが…。
徳原
そもそも枠配分に対するイメージは人それぞれ違っており、「枠」といった言葉を見た時点で否定的な考えを抱く人もいると思います。
とすると、「枠」という表現から見直した方が良いのかもしれないなと思い始めています。
川口さん
「枠」という言葉を別の言葉で表現するのは、なかなか難しいと思います。
あと、枠配分の多様性というか、多義性というのは、比較的実務経験があるとしっくりくるんです。
自治体によって枠の考え方が微妙に違うということは、ある程度分かってきていますので、多様なニュアンスを含んでるというところは、ある程度、理解できると思います。
今村さん
長久さんの意見を聞いてなぜ「枠」を設定するのか。
最初から全部青天井で、「何でも要求していい」としないのか。といったことを考えました。
原課・原局の自律性を尊重するとか、財政課で全部を査定する手間を省くためにシーリングという要求上限を設定して、その範囲内で収めさせるために枠を設定する、とか。
「枠」という言葉の使い方は自治体によって変わるので、「枠」の定義が無いとバラバラになってしまう気がします。
長久さん
「入り」と「出」がイコールになる、というのが予算編成のあるべき姿なので、それを目指すには、ある程度シーリングで設定しないと「出」ばかりが増えてしまいます。
財政の究極の目標は、収支均衡を毎年継続すること。
その意味では、枠内・枠外の概念は、普遍的・共通的と思います。
自治体によって「枠」の使い方や運用が違ったりしますが、枠があること自体はどの自治体も共通だと思います。
このような議論を経て、事業の分類は「枠内で要求/査定をする事業」「枠外で要求/査定をする事業」としつつも
・「枠内で要求/査定をする事業」であっても財政課が査定することがある
・「枠」の定義が自治体によって異なるといったことを踏まえ、定義設定は再考案することとしました。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。