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新しい自治体財政を考える研究会メルマガVol.9

こんにちは。
「新しい自治体財政を考える研究会」事務局の小澤です。
先週4/8(金)は第2回研究会の参加申込の締切日でした。
大変有難いことに57自治体の皆さんにお申込みいただきました。
(ありがとうございます!)
更に、本日も
「締切後ですが申し込みできますか?」
といった問い合わせを数件いただいております。
今回は4/28の開催日に向けて、事前に参加者の皆さんにアンケートをご依頼したり、当日資料を配布したり…といったことを予定しているため申込期限を4/8(金)に設定させていただきました
が、今後も参加希望のご連絡をいただいた場合は柔軟に対応させていただきたいと考えております。
「予定が変わって参加できそう」
「メルマガを読んでいるうちに興味が出てきたな…」
など状況やお気持ちに変化がございましたら事務局・小澤までご連絡ください。
 
さて、今回も第2回愛好会の議論の様子をお届けします。
noteで紹介しています、第2回愛好会の開催前にいただいた財オタの皆さんからのアイディア、第2回愛好会の概要をご覧いただいてから読んでいただけますと、より理解を深めていただけるかと
思います。
★第2回愛好会のnoteはこちら
 
【本日のテーマ】
ポストではなく人に依る査定スキルもあるのでは?
【登場人物】
財オタ・今村さん(福岡市)
財オタ・川口さん(大東市)
財オタ・長久さん(高岡市)
事務局・吉本
 
第2回愛好会では予算編成が抱えている課題を「個別事業に対する現場の納得性」と「自治体全体の予算の質の向上」
の大きく2つに分解し、それぞれ解決するために必要な要素について議論されました。
そして「自治体全体の予算の質の向上」に必要な要素である「横ぐし・統合」のスキルはポストだけでなく人に依る部分もあるのでは、といった議論が展開されました。
 
吉本
横ぐしを通せる、政策ツールを良く知っている、経費をきちんと切れる、数字に強いというスキルは専門能力・コンサル能力だと思います。
そして、比較的規模の小さい自治体では、このようなスキルを持つ人材は財政課や企画課に所属していることが多いかと思います。
しかし、ある自治体では、関連の深い部署をいくつかのグループにまとめ、各グループのリーダーを中心にグループ内で横ぐしを通せるような事業がないか、といった検討を行っており、このリーダーはグループ内の原課職員が担っています。
このような事例を見ると、横ぐし・結合を実行するには「スキルを持つ人」がいるかどうかが重要であり、今は結果的に、そのような人材が財政課に集まっていることが多い、ということではないかと考えました。
今村さん
私が福岡市で大きく枠予算にかじを切った時、財政課の職員の在課年数を短くするようにしました。
査定のノウハウをまとめてマニュアル化すれば財政課でなくても実施できると考え、まずは財政課の人が異動して原局・原課に行くところから始めました。
それまでは5~6年だった財政課の在課年数を基本的には3〜4年で出すということに変えたんです。
ノウハウを持つ人材を原課に配置する、原課に権限を与えることで、原課独自のノウハウを積み上げる。
これによって現場でやれることは現場でできる環境が整います。
そうすれば財政や企画は、全庁的なコンサルティングが必要な少数の事業にどっぷりと漬かることができる。
自治体の規模が変われば違ってきますが、大規模自治体ではこのような分業が可能かと思います。
うな分業が可能かと思います。
川口さん
大東市の財政課の在籍年数は大体7〜8年位です。
うちは、財政課職員がスーパーマン的に動く場面が多いと感じます。
調整に財政課が頑張らないといけないという環境になっているのが現状です。
今村さん
「ポストではなく、人なのではないか」といったことを考えると、人を集めてポスト・組織を作るやり方にするのか、人を分散して分権化していくのかは、組織や人材のリソースの大きさによって変わってくる所ではないかと思います。
長久さん
高岡市は在籍年数4年が1つの目安です。
また、査定する時には情報を集めることが非常に大事になってくるので、財政課職員には情報収集能力がマストだと思います。
ので、財政課職員には情報収集能力がマストだと思います。
ただ、これは何か特別な能力ということではなく「知らないから教えて」と素朴に質問できるだけでいいと思います。
シンプルですが、そういうことを素直にできる人ほど良い査定を行えていると思います。
高岡市のような小規模な自治体は人材が集約化されている方が、効率が良いのかな、と思いました。
吉本
コンサルテクニックは自治体によってばらつきがあるものでしょうか?
それとも、分野ごとに共通してくるものでしょうか?
長久さん
高岡市の場合は一件査定なので事業ごとに査定をしていますが、これは単に予算を切ることが目的ではありません。
財政課にしっかりとした説明ができないということは、事業の中身が詰まっておらず、その状態では予算を付けることは難しい、といった判断に繋がります。
査定では事業の質や精度を高めてもらうことが重要で、そのためには第三者が事業の話を聞ける状態になっているということは大事です。
特に新規事業の査定では、聞くポイントはどの自治体も共通しているのではないかと思います。
今村さん
「説明」とは、議会や市民に説明する際の理屈をどう整理するかということです。
地域差や自治体の規模感、市民がどのくらい行政に関心を持っているかなどの違いはありますが、「こういう査定で、こんな風に結論を出した」ということ自体は、どの自治体もそんなに変わらないのではないか、と想像します。
長久さん
今村さんがおっしゃっている対外的な説明の他、そもそも事業としてしっかり筋書きが通っているのか、ロジカルになっているのか、という説明も必要だと思います。
やりたい事業の予算要求に没頭するあまり、対外的な説明の整理を優先し事業をロジカルに整理する意識が薄くなるケースも多いので、ロジカルに事業を説明できるという能力は必要なのかな、と思います。
吉本
経費査定のように、査定のポイントが共通しているものは一定の基礎スキルのような形で体系化できそうですね。
分野ごとに横ぐし・統合するノウハウについては経費査定とは違い、その分野のドメイン知識が必要になりますが、これも政策ごとにドメイン知識を整理するなどで体系化は可能ではないでしょうか。
そして、体系化したスキルやノウハウを、みんなで共有することに意味があるのでは?と考えましたがいかがでしょうか?
川口さん
「ポストではなく人」という側面はあると思います。
財政課には「協調性があって、人の話をきちんと聞ける」という力も大事です。
「事務処理能力が高い」といったスキルだけではなく、傾聴能力も大切になってきます。
今村さん
川口さんが言ったように、相手とのコミュニケーションができるかどうかということは財政の仕事ではすごく重要です。
「査定で事業を切れない」という悩みのほとんどは、コミュニケーションがちゃんとできていないことが原因だと思います。
予算編成というのは、大きな合意形成なので、その合意形成を分解し
「制度として担保できるのはこれだ」
「制度を生かすにはこのようなスキルを持った人材が必要だ」
という整理ができると、人材育成にも繋がっていくと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに!