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新しい自治体財政を考える研究会メルマガVol.6

こんにちは。
「新しい自治体財政を考える研究会」事務局の小澤です。
 
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これは、これまで配信してきたメルマガVol.1〜5の配信時間です。
メルマガを配信する時には
「お昼ご飯を食べながら読んでもらえるかな?」
「午後のちょっとした息抜きになったら良いな」
「1日の締めの読み物としてどうだろうか…」
なんてことを考えながら、配信タイミングを考えております。
本日は一週間の始まりの月曜日。
「お休みモードからお仕事モードへの切り替えのきっかけになったら
良いな」
ということで、早めに配信してみました。
もし、皆さんがメルマガを読みやすい時間、タイミングなどございましたら、
お教えいただけますと嬉しいです!(本メールにご返信ください)
 
さて、今回も第1回愛好会での議論の様子をお届けいたします。
前回同様、noteの概要と、先日お送りしたver0をご覧いただいてから読んでいただけます
と、より理解を深めていただけるかと思います。
※メルマガのバックナンバーをご希望の方は事務局・小澤までご連絡ください。
★第1回愛好会のnoteはこちら
 
【本日のテーマ】
・事業の予算額をスムーズに決定するには?
【登場人物】
財オタ・今村さん(福岡市)
財オタ・川口さん(大東市)
財オタ・長久さん(高岡市)
事務局・徳原
事務局・吉本
 
コミュニケーションに焦点を置いたフローの素案を作成すべく、まずはver0にある下記の「重要フェーズ」を中心にコミュニケーションのあり方や課題について議論を深めました。
【要求前】
政策・投資的経費の調査
財源配分基礎調査精査、配分案決定
【要求査定中】
原局の組織内査定
予算要求等とりまとめ
今回はこの中の「財源配分基礎調査精査、配分案決定」
について交わされた議論をご紹介します。
 
徳原
「財源配分基礎調査精査、配分案決」
とは財政課長に最終的には説明をしていく、係長が取りまとめて説明をしていく、というところ。
規模の大きな自治体だと、財政係長が現場の方にプレ査定というか、課長が突っ込んできそうなものについて、資料を揃えていくというような実務の内容になってきます。
ここのコミュニケーションについて、課題やスムーズに進行していくためのポイント・コツがあれば伺いたいです。
今村さん
一つ前の「政策・投資的経費の調査」話というのは、首長と局長とか部長たちが密なコミュニケーションをとることで上手くいきそうな気がしますが、このフェーズは1個1個の事業に対して今年度と同じ予算額を付けられないかもしれない、といった、すごく厳しい話なんです。
やっぱり「お金がない」ということをどうやって共有するのか、というところがすごく難しくて。
「いるものは、いる」
「無い袖は振れない」
のせめぎ合いが、もう6月、7月から始まってしまう。
なかなかコミュニケーションが難しいと感じているところです。
川口さん
私は国の動きや社会経済の動き、扶助費の動きが読みきれないということに課題を感じています。
交付税や各種の財源、あと扶助費でどんな制度が始まるか、そういったことがうまく把握しきれず、一般財源総額を読み違えてしまうことがあるんです。
吉本
それは、原課から情報が上がってこない、というコミュニケーションの問題でしょうか?
それとも、原課も把握できていないということでしょうか?
川口さん
国の方の確定待ちで、原課とのコミュニケーションの問題ではありません。
ただ、国の方もそんなに早い時期に決められるわけではないので仕方がないんですけれど、
臨時財政対策債なども含めた一般財源の読み違いが起こって、後々問題が起こるということが結構あります。
長久さん
私は「必要かどうか、ちゃんと整理されていないのに必要と言って要求する」
という姿勢が拭えない所に課題を感じます。
「要求前に再整理しない要求は結果的に自分たちの首を絞める無意味な要求」
という意識は徐々に浸透はしてきていますが、全ての人が理解してくれているわけではなく、
「ある施策の実現に向け、これまで要求してきた事業やその経費の必要性について深く考えたことはないけど、手法を変える理由や辞める理由もよくわからず、なんとなく必要と感じるので、これまでと同様に要求します」
というレベルを超えない人もいる。
理解度が違うとコミュニケーションが続かないどころか成立しないことが課題です。
吉本
我々も色々な自治体をヒアリングする中で、すごく細かく、緻密に歳入をはかる自治体と
「補正でやればいいじゃない」という自治体の2極に分かれると感じています。
何が理由なんでしょう?
川口さん
大東市の場合は、枠配をする年度と、一件査定の年度ありますが、枠配でマイナスシーリングをするならば、財源もきっちり読んでおかないとと思います。
後から交付税がもっと多かった、市税が多かった、と言い出すと、
「マイナスシーリングしたのに、何だったんだ!」
となってしまうので、枠配の額を正確に示すのであれば、財源をきっちり読むべきだと考えます。
徳原
ここが財政課担当者にとって、現実的に厳しい場になるという話ですが、厳しさが2つあると思っています。
「守ってね」というルールを課す以上、そのルールがある程度現実味を帯びていて正確じゃなきゃいけない。
ただ、正確にやりきれない。
国の動き加味して何度も修正していくことが前提で、一発で出せないとなると、激しい突っ込みや、反発をいかにして和らげられるか。
その反発を生まないか、というのが1つポイントかなっていうところ。
もう1つは
「無いことは分かっているけど、付けてほしい」
という状態を改善していくこと。
これは、回数を重ねて説明することでしか、正しい理解をしてもらえないのか。
転換点となるような数字の出し方や、会議の持ち方というものがあって、実はもっと効率よく理解してもらえるのか、というところがポイントかと思います。
今村さん
前段の、枠をきちんと示して枠を守ってもらうという点について。
私は、今の時点で示せるものでしか示さないし、それは後で変わり得るという前提で枠を配分するという風にしかならないんだろうと思っています。
いわゆるマイナス配分は
「これだけの財源が見込める」
ということで、見込める財源を全部配分したとしても「足りない」というようなことが起こり得る。
足りないんだけど
「あとは査定とか財源調整で何とかします」
という風に財政側でノルマを課した上で、見込まれる財源以上の枠配分をする、ということを福岡市では毎年行っています。
もう1つの「お金がない」ということに対して
「無い袖は振れない」
というところをどんな風に工夫するかは、実は、その部局の局長が自分のところでビルド&スクラップで考えなければいけない、という風に役所の中で整理をしています。
最終的には「原局で何とかする」権限と責任をどう理解してもらうか、という点に尽きると思います。
長久さん
理解してもらえるというのは、結局、話し合いしかないのかな、と思います。
話をして、実態を理解してもらうしかない。
私は(財政課時代の)4年間、厳しいことを言いましたが、その代わり、今までないがしろにされていた施設の営繕などに、計画的にしっかりと予算を付けるようにしました。
また、突発的な設備の故障などの事故があったら、早く直せるよう予算を確保し、このために、普段節約をしている、ということを体感してもらう、実感してもらう。
財政の節約の大事さを、違う形でメリットとして見える形にし、担当課が財政課に期待している「予算措置をする」という行為を通じ信頼関係を作っていくことが大事だと思います。
吉本
メリットを感じてもらう時の見せ方で工夫していることはありますか?
長久さん
決算剰余金がこれだけ出ます、というのは事前に庁議の場などを使って皆さんに説明します。
そして、サマーレビューで議論した大型営繕事業の中で次年度実施を決定したものについては、景気対策や発注の平準化という価値観で、新年度予算まで待つのではなく、繰越事業を前提に、前倒しで12月補正に予算計上する場合もあります。
その時期は、そもそも公共工事が少ない時期なので、公共工事の平準化の観点のみならず、業者間の競合も活発となることから契約額が下がる傾向にあり、更なる追加工事もできる可能性もでてきます。
当初予算は一般財源の確保が難しく、財源的にも補正予算で対応できて楽、という予算編成上のテクニックとしての意味合いもありますが、発注機会の平準化の視点も加え、やると決めた営繕は補正予算措置による前倒し査定で事業費を確保する。
担当課から何か相談を受けた際、心理面も含め、現時点での予算措置により明確に改善が見込まれるケースであれば、
「分かりました」
と即決してあげる。
そういう風に結果で見せています。
吉本
収入が増えているわけではないので、メリハリがついたということと、分かりやすい表現をしっかりやった、ということですよね。
その作り込みが大事だと思いました。
今村さん
私は財政課時代に、流用の決裁区分を引き下げたんです。
節約したものは、その年度・その局のなかであれば、どこでも使えるようにしています。
また、節約インセンティブといって
「節約したものを来年度に使いたい」
というと、節約した分、来年度の財源配分を有利にしてあげる、ということはやっています。
お金を余らせたら、自分たちで使えるという仕組みを財政運営上で整え、
各局に通知をしています。
 
「財源配分基礎調査精査、配分案決」のコミュニケーションのポイント
「お金が無い」ということを全職員に理解してもらうことが必要。
ただし、これはとても難しい。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!