▪️

愛媛県が行う「成果重視政策マネジメント」について~成果重視型政策立案プラットフォームの構築~

【イベントレポート】 自治体向け経営管理システム「WiseVine Build & Scrap」を活用した成果重視政策マネジメント事例を発表(詳細はこちら

愛媛県が行う「成果重視政策マネジメント」について~成果重視型政策立案プラットフォームの構築~

 
はじめに
 近年、自治体においては、限られた財源を効率的に活用し、持続可能なまちづくりを進めることが求められています。愛媛県は、従来の予算編成方法から、成果を重視した行政運営への転換を進めており全国的にも注目されています。  そこで今月号では、今年5月に東京ビッグサイトで行われた「自治体総合フェア」にて、当研究会が開催し、愛媛県と株式会社WiseVineが登壇したカンファレンスの概要をお伝えします。
 
愛媛県が実現したいこと
 第1部に登壇した矢野氏からは、「愛媛県が取り組む成果重視政策マネジメントについて」と題して、愛媛県の事例紹介が行われました。  愛媛県が成果重視政策マネジメントによって実現したいことは、次の3点となります。 ①総合計画の目標を達成するため、成果を追い求める組織に変革したい。 ②政策推進の原動力である職員の力を結集したい。 ③財政課は、財源面・KPIの設定・管理(目標管理)の面から部局のサポート役となりたい。  これらの目標を達成するため、愛媛県は予算編成の際の観点を大きく転換し、「何をしたか」ではなく、「何ができたのか」へ意識改革を図りました。  業務改革としては、これまでバラバラの仕組みで動いていた政策立案から予算編成、執行、決算、評価の各業務を一気通貫で管理し、成果を重視する行政運営に移行します。財政課の役割も、必要な財源の確保に加え、知事の経営判断に基づく配分及び各部局のKPI管理をサポートする役割を担う姿へ変わっていきたいと考えています。
 成果重視政策マネジメントの基本構成について、総合計画の目標達成に向けた成果の追求、「何をしたか」ではなく「何ができたのか」という意識改革にあたり、政策・財源、人材を効果的に連動させることを目指すものになっています。これらの取り組みについて実効性を持たせるために、推進体制づくりにも取り組んでいます。  さらに、デジタルによる業務効率化を図るプラットフォーム構築を業務改革と一体的に取り組むことで、各部局の業務負担を大幅に削減することを見据えています。このプラットフォームについては、今年度4月より運用を開始し、6月補正予算編成から活用を進めているところです。
愛媛県 総務部 行財政推進局 財政課
主幹 矢野 良太郎氏
愛媛県 総務部 行財政推進局 財政課 主幹 矢野 良太郎氏
 
成果重視政策マネジメントを実現するソリューション
 第2部に登壇した吉本氏からは、愛媛県が進める「成果重視政策マネジメント」を支える、経営管理システム 「WiseVine Build & Scrap」の紹介がありました。  WiseVine社は「未来の世代に豊かな世界を残す」というミッション、「行政の進化と伴走する」というビジョンを掲げています。  これまで「既決予算の見える化」(横浜市)、「行政評価のDX」(内閣官房)に携わり、愛媛県には予算編成から執行、決算、評価までを一元管理するシステムと、これらをダッシュボード化して分析ができるBIツールなどで構成される経営管理システムを提供しています。
株式会社 WiseVine
代表取締役 吉本 翔生氏
株式会社 WiseVine 代表取締役 吉本 翔生氏
 
おわりに
愛媛県が取り組む成果重視政策マネジメントは、自治体運営の新たな方向性を示しています。行政運営の効率化や業務改革を進めるためのモデルケースとして、多くの自治体において参考事例になることが期待されます。(了)(財ラボ編集部)