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国の補正予算に対応する柔軟な財政運営
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今回は総合政策部長等を経て、現在は川西市副市長を務める松木茂弘(まつき・しげひろ)さんに回答いただきました。
Q 国の経済対策(15か月予算の編成)などに合わせて、自治体として柔軟な予算編成に対応するにはどのような手段・方法がありますか?
国の経済対策には、自治体も柔軟な予算編成が求められますが、大切な部分は編成するタイミングです。それには逆算の発想が必要です。
臨時給付金など国レベルで統一して行うものは、いつ給付をスタートするかから逆算して、議決をいつまでに取るかを考えて12月から2月にかけて補正予算を編成します。一方、防災減災事業など工期に時間が必要なものは、いつ完成させるかから逆算し、契約、入札を考慮して必要な議決時期を想定して予算を編成します。場合によっては補正予算ではなく新年度当初予算での対応とする場合もあります。
また、補正予算には複数年の費用全体を計上しておいて全額を繰越しする場合や、準備経費だけを補正予算で編成しておいて事業の実施経費は新年度当初予算に計上する場合もあります。
どちらにしても、スムーズに住民サービスが展開できるよう柔軟に予算の組み方を工夫していくことが必要です。
Q 前述の対応含め、近年繰越明許費の件数が増加傾向で、議会からも指摘を受けています。どのように伝えたら良いでしょうか?
経済対策などによって新しい施策を実施する場合には、一定の時間が必要です。給付金などのソフト事業でも、企画立案、対象者の抽出の準備、委託事業者の決定、契約、住民への事前周知、そして事業実施と必然的に年度を超えて実施することになります。できるだけ早期に住民にサービスを提供していくことを考えれば、事業のスタートを早く切ることが必要です。
地方自治法上、予算には単年度予算の原則がありますが、継続費、繰越明許費、債務負担行為の例外的な措置が認められています。近年ではこの例外的な措置を活用したケースが多く見られるようになってきました。
住民サービスを早期に提供していくためには、議会に全体のスケジュールを示して、早期に準備をしていくことの必要性、実施時期を想定した複数年度での実施の必要性を丁寧に説明していくことです。
回答者
財オタ・川西市
松木 茂弘(まつき・しげひろ)
1983年川西市入庁。
企画財政課財政課長、総合政策部長等を経て、現在は川西市副市長を務める。
著書『自治体財務の12か月』『自治体財政Q&Aなんでも相談室』ほか多数。
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