▪️

「自治体財政DX推進に関する連携協定」締結記念セミナー〜WiseVine Build & Scrapの可能性と自治体財政の未来〜

セミナー終了後に参加者全員と記念撮影した際の様子(財ラボ代表理事・定野(前列右から3人目)とWiseVine社CEO・吉本氏(前列右から4人目))。

はじめに

株式会社WiseVine(以下、 WiseVine社)との連携協定締結および予算編成・経営管理システム「WiseVine Build & Scrap」(以下、システムという)のデモ環境の公開を記念し、都内で財ラボ会員限定のセミナーを開催した。当日は、関東近辺のほか、関西・中国・九州地方の自治体から総勢17名の財ラボ会員が参加した。
WiseVine社との連携協定の意義や愛媛県のシステム導入事例の紹介など、自治体財政DXに関する講演をはじめ、最新の生成AI搭載システムの披露もあり、参加者からは様々な質問や意見が挙がった。

トークセッション ― 自治体財政DXがもたらす業務改革とは

トークセッションの様子(愛媛県財政課知念課長は、オンライン参加のためスクリーン上で登壇)
自治体財政DXの影響は単なる業務効率化に留まらない。トークセッションでは、WiseVine社とともにシステムを開発し、実際に運用している愛媛県財政課の知念課長がオンラインで登壇し、当会代表の定野とWiseVine社CEOの吉本氏とともにシステムがもたらした影響について議論した(本誌面では、知念課長の発言のみ取り上げる)。
冒頭、知念課長よりWiseVine社のシステム導入の背景や目的として、複雑化する行政ニーズへの対応や政策立案型行政実現のため予算編成業務の見直しが急務であったことや、令和7年度予算編成では、全庁的にペーパーレス化や作業の省力化が実現し、数十万枚単位の紙使用削減につながったことが説明された。
特に、システムに搭載されているコメント機能により課内や係内、原課と財政課、幹事課とのやりとりがシステム上で可能となり、複数人が同時に確認できるようになったことで、予算編成作業のレスポンスが格段に向上したほか、財政課の残業時間の削減効果もあったことが明かされた。
また、出先機関の職員も予算編成に関わる機会が増えたことで業務の平準化が図れたこと、さらにシステム導入と並行して全事業にKPI(重要業績評価指標)を設定し、実績を可視化したことによって「何をしたのか」ではなく「何ができたのか」というマインドチェンジが全庁的に浸透し始めている。今後も、WiseVine社と協働して作業時間の分析や現場の声のフィードバックからシステムの機能向上を図り、さらなる業務改善で県庁全体の政策推進力を高めていく方針が語られた。

≪限定公開≫生成AI搭載システムの紹介と新しい自治体財政の未来

WiseVine社エンジニアが生成AI搭載のシステムを説明する様子
セミナー後にはWiseVine社のエンジニアから、最新生成AI搭載システムの紹介として、職員が入力した事業名と概要に対し、AIが適切なKPI指標などを提案する機能の説明があった。参加者からは「自治体規模も考慮した提案ができるか」など、技術面についても質問が飛び交った。
さらに、他の財政実務に活かせるAIの可能性についても議論が及び、まさに自治体の枠を超えて『新しい自治体財政の未来』を語り合う姿があった。
終盤には、意見交換会で用意された食事を楽しみつつ、全国各地から集まった会員同士で情報交換を行うなど、盛況のうちにセミナーは閉会した。
名刺交換から短時間で意気投合し、談笑する様子が多く見られた

おわりに

今回のセミナーを通じて自治体の垣根を越えた交流が生まれ、最新の財政DXから業務改革などの可能性を探ることができた。
本レポートを読んでシステムに関心を持たれた方は、裏表紙記載の事務局連絡先までお問合せください。
(了)(財ラボ編集部)