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旬の財政「決算統計」

財政の「旬」のキーワードにしたコラム。
決算統計は、総務省が実施する「地方財政状況調査」の通称です。この調査は、全国の地方自治体の決算を統一的なルールで分類し、比較可能な形で整理する重要な作業です。財政課にとっては、当初予算編成に次ぐ業務繁忙期であり、正確かつ効率的に実施したいところです。
業務の効率化と課題
決算統計業務は、出納閉鎖後約1か月という短期間で、普通会計の1年間の歳入歳出決算を分類・集計し、エラーチェックを経て提出する必要があります。具体的な業務の流れは、純計処理や端数調整後の決算額に性質、目的、臨時/経常の区分を設定し、特定財源を充当して表の作成に進みます。
分類は作成要領に従いますが、ルールが膨大で、作表後にエラーが出て初めて気づくこともあり、手戻りが多くなりがちです。予算編成時に決算統計を考慮した分類ができれば作業は軽減されますが、多くの自治体では予算時点では大まかに、決算時に詳細に分類しています。同じ手戻りを繰り返さないためには、分類・充当時のチェックリストの作成などでナレッジの蓄積を図ることが重要です。
経常収支比率
決算統計の結果から算出される重要な指標が「経常収支比率」です。公共団体の財政構造の弾力性を判断するための指標で、経常的経費に充当された一般財源(経常経費充当一般財源)の額が、毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般財源等)の合計額に占める割合を示し、比率が高いほど財政の硬直化が進んでいることを意味します。普通建設事業費や選挙に要する経費など個別に定められたものや単年度または短期間の年度に限って要した経費は臨時的経費、そのほかは経常的経費として扱います。
結果の分析と公表
決算統計の役割は、結果をどのように分析し、財政運営に活かすかにあります。経常収支比率の算出や検収調書の作成を通じて、予算と決算の比較、決算の経年変化の分析、類似団体との比較などを行い、次年度以降の予算編成や中長期財政計画に役立てることができます。また、決算の公表においては「どんな事業を実施したか」だけではなく、決算統計結果の分析を踏まえて「昨年と比較してどうか、どんな傾向が予想されるのか」などを分かりやすく公表することで、住民の財政への理解を深めたいところです。
(了)(財ラボ編集部)