▪️
ヨッシー(WiseVine代表)の 【全国】財政課キャラバン 〜皆さんのお困りごと、聞かせてください!~


財政課の課題解決に“本気”で向き合いたい―
財ラボと連携協定を締結したWiseVine代表・吉本氏が、現場主義とIT技術を
武器に全国の財政課を訪問し、自治体業務の課題解決に向けて得られた気づき
や学びを会員限定ページ内のブログで公開しています。
本誌でもその内容の一部をお届けします。
こんにちは、WiseVine代表の吉本です!
このたび財ラボと連携し、会員向けに「Build & Scrap」の一部機能を無償提供したところ、有り難いことに全国の自治体から大きな反響をいただきました。
その声を受け、各地を回る「【全国】財政課キャラバン」を開始し、実務に根ざした視点での情報発信をさせていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いします。
既存の行政評価手法、優先順位手法は限界という話。
専門誌「財ラボ」掲載初回の今回は、A市さんのお話をしたいと思います。
A市さんとは2年ほどのお付き合いで、昨年から半年間、行政評価部門で当社システムをPOC(Proof of Concept)導入いただきました。その過程で担当課の方々と深く議論を重ね、事業スクラップに関する興味深い事実が見えてきたので、共有したいと思います。
まず、A市さんは全事業を対象に事務事業評価を丁寧に実施されていますが、それでも事業改善には2つの悩みがありました。
①既存のロジックでC判定(廃止勧告)が可能な事業はほとんど残っておらず、限界に達していること
②財政課が事業評価をどう活用しているのかが不明確であること
この2点は、他の自治体にも共通する悩みではないでしょうか。
①に関しては、愛媛県と同様に政策―施策―細施策―事業という4階層の体系に指標を設定し、「上位施策や細施策に寄与しない事業に対しては廃止または組み換えを勧告する」という新たな選定ロジックを導入しようとしています。この「寄与」の評価方法は、別の回で類型を考えてみたいと思います。
②について評価結果は一応、財政課に渡されるものの、その後の活用状況が不明である点が問題でした。原課が改善勧告を受け容れたかどうかも追えず、財政課との情報共有に限界がありました。A市さんは財政課と企画課の関係が良好ですが、それでも所管の壁により情報が断絶していたのです。
つまり、①②の解決策としては「原課が設定したKPIの妥当性を企画部門が評価し、修正指示を出した際に未対応であれば可視化し、それを財政課に共有すること。そして、その結果を企画と原課へフィードバックすること」が必要だという結論に至りました。
当たり前のようですが、言語化すると意外な発見があります。
財政課と企画課の実際のやり取りをまとめたものは次の通りです(A市では「細施策」とは呼んでいませんが、第三階層の政策体系が存在しています)。
・財政課には事業のスクラップ権限はなく、新規事業へのゼロ査定のみ可能。
・財政課の査定権限は費用レベルに限られ、継続事業そのものを廃止する権限はない。
・ゆえに、廃止判定は行政評価側で行う必要がある。細施策への貢献度が低ければ見直しは可能。
・誰か(企画部門または首長)が判断すれば、財政課は予算調整権を使って廃止を決定できる。
・財政課が弱い自治体では、スクラップ指示が出せず、最終的に首長査定に委ねられる。
・当該自治体では、企画課がしっかり評価をしてくれれば、財政課として廃止判断ができる。
・財政課の役割は収支を合わせること。優先順位をつける責任は他部門が担う必要がある。
今回はここまで。次回以降も楽しみにしていただければ幸いです。