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財ラボ定例アンケート結果(財務会計システム)
【調査目的】
「財務会計システムの実態」について、全国の自治体職員とのネットワークをもつ当会で調査
・公表し、最新の傾向や情報を自治体の垣根を越えて共有するため
【調査対象/調査方法】
当会会員及びWEB上にメールアドレスを公開している非会員(地方公共団体・財政部門)計
1,631アドレスに対し、調査メールを送信
【調査期間】
2025年8月22日(金)~9月19日(金)
【回答数(回答率)】
308票(18.8%)
目次
調査概要
今年8月に創立3周年を迎えた当会では、全国自治体の財務会計システムの実態把握アンケートを実施した。
結果、308団体から有効回答が集まり、うち本稿では(3)予算編成機能に関する結果を中心に報告する。
なお、全体の集計結果は、既に回答自治体へデータをメール送付しているほか、下記の会員限定ページ内においてダウンロードが可能(但し、会員に限る)となっているので、ぜひ参考にしていただきたい。
予算編成業務における現行の財務会計システムの課題
現行システムの主な課題として多かったのは、次の3点だ。
①事業評価結果が予算査定・配分に接続されにくい
②要求内容の横断比較・分析が弱く、根拠整理に時間を要する
③Excel/Word帳票との二重管理が常態化している
加えて、
- 画面操作性や権限設計
- 異動職員の習熟に時間がかかる
- 帳票間の非連動による〝多重入力〟
がボトルネックとなり、「データはあるのに意思決定につながりにくい段差が残っている」との声が寄せられた。
また、業務側からは
- 要求の漏れ/誤りチェック
- 査定理由のたたき台生成
- 他自治体事例/補助制度の探索
- 年度間/分野間の比較
- 基金/起債や物価見通しの反映
など、日々の査定の〝詰まり〟を解消したいというニーズが目立った。
予算編成業務におけるAI活用の現状
AI活用状況は、導入済みの自治体はまだ限定的ながら「今後活用(検討)したい」という回答が約半数を占める結果となった。
また、「AI活用の予定(希望)は無い」理由は「活用方法が分からない」が最も多かった。

なお、AIを活用したい業務内容として
- 要求書/事業シート/行政評価票の整合チェック
- 査定コメントの初稿生成
- 過去要求や先行事例の自動検索
- 配分シミュレーション
- 説明資料の自動生成
などが挙がった一方で、
- 活用方法の具体化
- 人材/時間の不足
- 情報管理セキュリティ
への配慮がAI導入の壁となっていることが明らかになった。
実務に根差したガイドと検証の場が求められている。
株式会社WiseVineの取り組み
当会と自治体財政DXに関する連携協定を締結している株式会社WiseVineでは、政策立案・予算編成に特化したAIサービスの開発を継続して進めている。
9月26日開催イベントで報告された愛媛県砥部町・松前町において、AIを活用した
- 特別交付税算定候補の一覧出力
- 査定ヒアリング内容の提案
- 査定時に積算レベルでの前年度差分比較
- 査定に活かせる事業評価データの形成
など、実務フロー上のボトルネック解消を狙った実証事業を実施中である。
各自治体が直面している多様な課題の解消に向け、エンジニア自らが実際に自治体の現場に入り込み、二人三脚で開発に取り組んでいる。
さいごに
アンケート調査にご協力いただいたすべての自治体の皆様に心から感謝申し上げます。
また、実証事業に関心のある自治体は、差し支えない範囲で予算編成業務における課題やご要望について、下記の問い合わせフォームよりご連絡ください。(了)(財ラボ編集部)