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【TIPS集】実は役立つ、あの指標!目的別指標の活用術

 

自治体財政にはたくさんの指標がありますが、それぞれどのように活用したら良いの?  


自治体財政には多くの指標がありますが、目的に応じてどの数値を使うかを見極めるのは意外と難しいものです。今回は、あまり注目されていないけれど実は役立つ指標をいくつか取り上げてみます。(総務省もしくは各自治体の財務諸表、財務状況資料集参照)
 

■ フロー編―年度内の資金の流れ

 
①債務返済負担倍率
財務活動支出 ÷ 業務活動収支
財務活動支出(地方債償還支出など)は業務活動収支の黒字で賄われます。この倍率が1・0を超えると、業務活動黒字を上回る借金返済となります。2倍、3倍が続く場合は危険シグナルで、基金の取崩しで一時的に賄っていないかなど注意が必要です。
 
②留保財源余力度
(標準税収入額×0.25)―非交付税措置元利償還金(※)
留保財源は、標準税収入額の25%に相当する、自治体が弾力的に使える部分です。この範囲内で交付税措置のない元利償還金部分を賄えていれば、身の丈にあった地方債の水準と言えます。交付税措置のない元利償還金は一度借りると、気にしないかもしれませんが、税収減があったときは留保財源との比較を見ておきたいですね。
(※)健全化法の実質公債費比率算定の過程で算出される。
 

■ コスト編―行政サービスの提供コストと評価

 
①行政コスト総額と受益者負担割合
受益者負担収入÷行政コスト総額×100
行政コストに対して、使用料や手数料などの受益者負担収入がどの程度を占めるかを示します。
 
②施設・事業、利用者単位のコストと評価
行政コストを施設や事業、あるいは利用者単位で算出できれば、コストと成果をより具体的に評価できます。利用者が減っても固定費は変わらない施設や事業が多く、結果として利用者1人あたりコストは上昇します。つまり、コスト総額が同じでも効率が下がっている可能性があるという点がポイントです。こうした視点は、事業評価や新規事業の判断にも活かせます。
 

■ ストック編―資産・負債から見た持続性

 
①公共施設老朽化比率
受益者負担収入÷行政コスト総額×100
有形固定資産の取得価額に対する減価償却累計額の割合を示し、資産の経年劣化を把握します。自治体の場合、学校や道路など撤退できない事業も多く、古くなれば当然に更新しなければならないため、老朽化比率や減価償却累計額は大事な指標です。人口減少や面積が広い(人口密度が低い)自治体は、インフラ・ライフラインの維持、防災・災害対応の負担は大きくなりますので、公共施設の最適化、更新時の一般財源や基金保有額の把握は必須です。

②債務償還比率
(将来負担額 − 充当可能財源)÷(経常一般財源等 − 経常経費充当財源等)
将来負担額から充当可能財源を控除した部分が経常部分余力の何倍かを示す指標です。数値が小さいほど返済余力が高く、財政の持続性が強いといえます。この指標で大事なのは、将来負担額、充当可能財源、経常収支部門の余力、それぞれの項目の複数年推移を把握しておくことです。
 
 
 
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