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旬の財政 「予算編成方針の策定」
財政の「旬」のキーワードにしたコラム。
役所にとっては年中行事である予算編成も、首長にとっては自身の政策を実現する最大のチャンスです。予算なくして政策は実現できませんから、何を重点にするのか、自治体のビジョン・ミッション、および政策目標を明確にしなければなりません。財政課にとっては、これが査定の切り札になるわけです。
1 社会経済情勢と国・地方の財政運営の現状と見通し
2 当該自治体の財政状況と直面する課題
財政計画との乖離や人口動態、債務状況の影響など、数値だけでなくグラフ・図を使うと、課題をより明確にできます。
3 重点施策の推進
当選直後の首長であれば政権公約が、そうでなければ既存の計画がベースになります。予算のプレスリリースを意識して重点施策とその目標を明示します。各プロジェクトのKPIを設定しておくと、成果を見える化することができます。
4 予算編成の基本方針
予算編成の基本方針は、以下の点を含めて具体的に設定しましょう。
・総合計画、実施計画の進捗状況
・行政改革と効率的な資源の活用
(ビルド&スクラップ)
・物価高騰など社会変容や価値観の多様化への対応
・公共施設やインフラ等の適正な管理
・市民からの要望、地域課題等への対応
・歳入歳出の見込みとそのギャップ、必要ならシーリングの設定
・予算の枠配分(財源の配分)を行っている自治体は、その範囲と金額
・経費別の見積もり方針、標準単価などの設定(これらは一例です)
5 その他留意事項など
事業の必要性や効果を精査すること、収入の確保やコスト意識の徹底、将来負担の軽減について注意喚起するとともに、予算編成のスケジュールを示します。
なお、予算編成方針に組織・定数・任用管理方針などを合わせて、新年度の行財政運営方針として公表する自治体もあります。(了)(財ラボ編集部)