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デジタルの力で実現する予算・決算情報の"見える化"

「財ラボ会員がイマ考えていること」を聞く「財ラボリレートーク」。
今回は、デジタルの力で予算・決算情報 の“見える化”を実現している、豊中市財政部財政課の岩佐恭子さん、林卓司さん、森山祐介さんにお話を伺いました。【聞き手 代表理事・定野司】
 

デジタルの力で実現する予算・決算情報の"見える化"

 
豊中市さんはデジタル予算書を作られていますが、何がきっかけでしたか。
本市では、令和2年10月に「とよなかデジタル・ガバメント戦略」を策定しており「デジタルによる新たな価値創造と変革を進める」と市長が宣言しました。その中で、財政課でも何かデジタルな取組ができないかと考えたことがきっかけでした。豊中市の施策体系は、政策・施策の下に評価の単位として約200件の事務事業があり、さらにその下に約1500件の予算管理事業があります。これまで体系的に整理できておらず、両者の統合が以前からの課題でした。一方で、統合による財政課業務への影響が大きいため、デジタルの力で紐づける方法を模索しデジタル予算書の構築に着手しました。
また、デジタル予算書を構築することで、市民への見える化の推進、議案参考資料のデジタル化、議案作成資料の省力化を実現する狙いもありました。
 
議会から紙の予算書が欲しいという声はありませんでしたか。
令和3年3月議会から議案はタブレット端末にPDFで配付し、紙の予算書は各会派に一部だけ渡していましたが「デジタル予算書移行に伴い、そちらをご活用ください」と依頼し続けた結果、今では紙の予算書を使用していません。
 
ペーパーレス化についてどのようにして理解を得ることができたのですか。
市長がデジタル・ガバメント宣言をしたこと、そして議会も市民サービス及び庁内業務を含めてデジタル化することに賛同したことが追い風となり、実現できたのかなと思います。
 
デジタル予算書は庁内業務でも活用されていますか。
事業検索や経年比較が容易になったことで予算や決算情報がすぐに確認できたり、議案参考資料や主要施策の資料作成に係る事務負担を軽減できたりしています。財政課では、査定する際の参考情報としても活用しています。
 
開発にはどれくらいかかりましたか。
令和4年度から具体的協議及び開発を進め、令和5年3月定例会から運用を開始しました。アジャイル開発でベンダーと連携して構築を進めましたが、特に本市が実現したいイメージを詳細まで理解してもらうことに時間がかかりました。
 
今後の展望をお聞かせください。
現在、査定時における視認性の向上を目的に、各事業の一般財源をグラフ化する機能のアップデートを予定しています。
また、今後の課題として本市の財政状況がパッと見て分かるようなダッシュボードや基金残高、市債残高、性質別の情報を表示する機能の実装ができればと思います。データ抽出~データインポートの簡素化、画面構成を見直して視認性・操作性の向上に必要なシステムの改善にも取り組みたいと考えています。
 
本日はありがとうございました。