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財ラボリレートーク
「財ラボ会員がイマ考えていること」を深掘りする「財ラボリレートーク」。
今回はリモート査定や予算査定のペーパーレス化など先進的な取り組みをされている高浜市財務グループの杉浦尚幸(すぎうら・なおゆき)さんにお話しを伺いました。
【聞き手 代表理事・定野司】
これまで、どんな部署を経験されましたか?
平成27年度に入庁し、1年目は税務グループで滞納整理業務を担当していました。
2年目からは滞納整理機構という任意組織に2年間出向し、市役所の担当案件に比べ高額で困難な案件の滞納整理に従事しました。
その後、再び滞納整理担当として2年間従事し、令和2年度から財務グループに異動となり、今年度で4年目になります。
財務グループではどんな仕事をされていますか?
当初予算や決算統計などです。
これまで、普通交付税・健全化等をはじめとした業務も担当してきましたが、他の職員達がどんどん引き継いでいってくれているため、徐々に仕事が減ってきています
現在、高浜市では予算業務改革に取り組まれていますが、どのようなことをされているんですか?
令和5年度は第7次総合計画が新たにスタートする大きな転換期の年なのですが、長期化するコロナ禍で市税の見通しが不透明なことに加えて、原油価格・物価高騰の影響もあり、非常に厳しい予算編成を見込んでおり、令和5年度の当初予算編成が最大の課題でした。
このような難局の中、より丁寧に予算編成を行おうと、令和2年度から2年間続けていた上層部のマネジメントによる予算編成から、以前行っていた一件査定による予算編成に戻しました。
また、企画と人事とタッグを組んで査定をしたり、大型PCモニターを活用したリモート査定を実施したり、手探りで予算編成に臨みました。
リモート査定とは、先進的です。
コロナ禍・新しい生活様式を考慮した新しい予算編成方法の枠組み作りは、非常に苦労しました。さらに、一次査定を廃止するとともに、ペーパーレス化も推進していくことになり、これらの新しいルール作りも求められたのですが、それまでは旅費くらいしか予算要求したことがなかったため、苦戦しました。
ゼロから生み出す作業って大変ですよね。ペーパーレス化は具体的にはどんなことをされているんですか?
例えば、予算編成事務説明会では紙を印刷せず、タブレットを使用して進めています。
議会に出席する職員が所持している議会用のタブレットを利用していて、直接メモを書き込めるようになってます。
加えて、見積書等の根拠資料の提出は、事業単位で全てPDFで提出してもらうようにしました。提出方法もメールではなく、各グループ分の提出フォルダを作成し、そのフォルダに保存してもらうようにしています。
また、原課職員が異動してもスムーズに引き継げるように、また財務グループとしては視認性を上げるために、一部の科目で積算資料の様式を統一しました。ただし、ここでも印刷したものをPDF化することのないようお願いしています。
他にも、今までは、外部庁舎の職員は、予算編成事務説明会等のために、本庁舎に来る必要があったのですが、コロナ対応の臨時交付金で購入した大型PCモニターを利用してリモートで参加してもらい、職員の行き来の時間を減らすようにするなど、デジタル化に向けた様々な工夫をしています。
ピンチをチャンスに変える姿勢が素晴らしいです。 予算編成に係る資料をいくつか拝見しましたが、資料のデザインがわかりやすくて素敵ですよね。
財務グループに来てから、民間企業のIR資料などを参考にして勉強しています。
伝わる構成を考えるのは手間がかかりますが、職員の皆さんに読んでもらって理解してもらえるように、見せ方にはこだわるようにしています。(図1)
どんな仕事でやりがいや達成感を感じますか?
やりがいのない仕事はないと思っています。仕事の捉え方、どのような姿勢で臨むかによって、今まで気づけなかった「やりがい」にふと気づけたりするものだと思います。
財務グループの仕事はやりがいしかないですし、行政職員としての成長のチャンスに溢れていると思います。
5年間、徴収業務をやってきたこともあり、このような前向きなマインドセットができるようになったのだと思います。
財政部門は特にストレスを抱えやすい部署なので、そのようなマインドセットは重要ですよね。
常に苦労の連続で、実力以上の仕事を任されていたりすると、プレッシャーに押しつぶされそうになります。
しかし、それも成長のチャンスと捉えて、業務に臨んでいます。
これからの財政課職員には何が求められると思いますか?
「全職員が予算編成を自分事として捉え、変化していく世の中の動きを見据え、事業の見直しにチャレンジしていかなければならない」
これは財務グループが令和5年度に掲げているキーワードの一つで、予算編成においてとても大切なことだと考えています。
その中で、個人的な考えですが、予算編成事務説明会などの庁内への情報発信の場で、訴求力のあるメッセージで全職員の共感を得ることで、職員の意識改革が進んでいくと信じています。
今後取り組んでいきたいことはありますか。
公共施設の課題はもちろん、DX推進、GX推進といった様々な行政課題に着実に対応していけるように、将来を見据え、バックキャスティングの考え方に基づいて予算編成に取り組んでいきたいと思います。
本日はありがとうございました。
三州瓦が至る所に使われた高浜市役所庁舎はとてもステキでした