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相談室 財政課経験がなく、財政課長になりました

日々の業務の悩み事に、財政のベテラン「財オタ」がアドバイス。
今回は通算16年間の法規担当の経験も生かし、法制と財政の両面から行財政運営に携わる佐倉市の塩浜克也(しおはま・かつや)さんに回答いただきました。
 

Q 財政課での業務経験がないため、知識・経験不足が不安です。勉強しておくべき資料はありますか。

 経験がなく財政課長になられたとは、ご不安でしょう。  まず確認すべきは、年間を通したスケジュールです。前年度決算への対応、翌年度予算に向けた大まかな流れ、年4回の定例議会に向けた補正予算の段取りなど、課内の資料で確認しましょう。  赴任して最初のヤマ場は、決算対応(監査・議会)です。これを乗り切るためには、決算における各指標の意味と動向を理解する必要があります。決算カードは、4年ほど遡ってみておきたいですね。  議会対応には、過去の会議録を見ておきましょう。財政課の所管部分はもちろん、ご自身の自治体での重要な政策課題は確認しておいた方が良いです。政策議論の流れに理解が及べば、今年度予算の内容を理解する助けにもなります。  年間スケジュールや、専門用語の意味は、本会の定野司代表理事による『自治体の財政担当になったら読む本』(学陽書房)が読みやすくて、おススメです。
 

Q 厳しい財政状況で、全職員で一丸となって対応する必要を感じており、現場と対立する財政課のイメージを変えたいと思っています。

 部下には、現場にまめに足を運び、何かあれば相談にのるよう、声をかけましょう。現場との信頼関係を構築することが、相互の協力と困難の克服につながるからです。
現場からの相談は、手に余るものもあるかもしれません。それでも、予算不足には交付税措置のある地方債の活用や、部署間の仲立ちができる場面はあるでしょう。財政課内でも職員間で声を掛け合い、知恵を出し合える雰囲気を作れればと思います。
「自分のテーブルだけで仕事をするな」と、私は周りに言います。ここで「テーブル」とは、執務用の机ではなく「話し合い、作業する場」の意味です。場合によっては、積極的に他部署の職員と「テーブル」を持ち寄って欲しい。
管理職の仕事はマネジメントです。以上を踏まえて、人事評価の目標設定をしっかりと行わせるとともに、部下それぞれの得手・不得手を踏まえ、組織として業務執行力の発揮に努めてください
 

回答者

 
佐倉市
塩浜克也さん
 
民間企業を経て1997年佐倉市入庁。財政部資産税課、総務部行政管理課等を経て、2022年より財政課長。 通算16年間の法規担当の経験も生かし、法制と財政の両面から行財政運営に携わる。主な著書に『月別解説で要所をおさえる! 原課職員のための自治体財務』(第一法規)。
 

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