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旬の財政 「議会と創る予算」
財政の「旬」のキーワードにしたコラム。
苦手意識からの脱却
秋から始まった予算編成の最後の関門「議会」。財政課、事業部門、首長が時には激論を交わしながら作り上げた予算案は、議会の承認を得て初めて効力を発揮する。
「議会」というワードに苦手意識を持つ自治体職員も少なくないが、議決を得るには議会との接触ポイントを積極的に活用する姿勢が重要だ。
年間を通して議会の考えを理解する
議会と首長は二元代表制、いわば車の両輪で、どちらかが先に行っても、遅れてもいけない。
予算編成に限らず、行政と議会は互いに相手を意識しながら仕事をすることが前提だ。
具体的には、定例会や常任委員会における質疑応答の内容は年間を通して把握し、予算編成では、これらを踏まえて事業部門は要求し、財政課は査定をし、首長は判断を下すことがポイントになる。
決算委員会は予算委員会?
通常、9月~10月に開催される決算委員会は、その名の通り、決算について議論する場である。
しかし、この時期は事業部門による予算要求の時期と重なるため、予算の話が展開されることも少なくなく「予算について議会の考えを伝える場」としての役割を持っている。
行政としてもこの場をチャンスと捉え、例えば、行政評価を実施しているところでは、決算に合わせて評価結果を公表するなど、議会が質問しやすい環境を整えるとよいだろう。
公の場で出た質問に首長が答弁することによって、事業部門や市民などに翌年度の予算の方向性を示すこともできる。
ただし、アクセルしかない車には注意が必要だ。
大きな事故になる前にブレーキをかけることも、そのブレーキを用意しておくことも財政課の大切な仕事のひとつだ。
各党要望
多くの自治体で12月~1月頃に、各党から翌年度の予算に対する要望書が提出されているだろう。
この頃にはある程度予算案は固まっており、必ずしも全ての要望に沿っていない場合もあるだろうが「予算には入っていないが、こういったことを計画しています」と方向性を説明し議会とコミュニケーションをとるチャンスになるはずだ。
要望の中には複数年にわたっているものも少なくないので、経年で要望内容の比較・進捗管理ができる体制づくりが重要だ。
(了)(財ラボ編集部)