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旬の財政 「首長査定」

 
 
財政の「旬」のキーワードにしたコラム。
 

最後の追い込み、どう切り抜ける?

自治体が手がける事業の必要性を示すことになる査定。年末から年始にかけて行われる首長査定においては、首長自身が掲げる政策が達成できるかどうかの瀬戸際ということもあり、財政課職員にとって責任が重く、一年で最も厳しい時期と言えるだろう。
自治体によって査定する事業は少なくとも数百、指定都市ともなると数千にも上る。紙で印刷された予算要求資料を一つ一つ丁寧に読んでいては到底期限に間に合わない。そこで重要になるのが、ポイントを絞り込む技術だ。
 

「膨大な情報をどう絞り込むか」

査定の前段階では、事業課に予算編成方針を説明しつつ、予算要求資料の作成を依頼するわけだが、財源が厳しい昨今では財源が足りない状況が多くあるわけで、事業間で足したり引いたりという駆け引きを行うことが重要となる。
まずは経常事業と政策事業を分けるところから始まり、ポイントを絞り込んで深掘りしていく。査定全てが百点満点で着地するわけもなく、ここでのさじ加減が重要となってくる。
首長査定は、首長の考えや気持ちが深く反映される。ありがちなのが〝首長の方が現場を知っている〟という状況。どれだけ情報が揃っていても、現場観に沿った査定ができていない限り、首長査定時に頓挫する可能性がでてくるのだ。これを回避するためには首長が今、何に関心をもって、どんな気持ちで活動しているかを把握することが必要になる。
 

「現場観を取り入れる」

とはいえ、個別に首長のヒアリングをする機会が多く用意されているわけではない。そこで肝心になるのが、各事業課との関係構築である。首長が各事業課に何を求めているのか、自身が掲げた政策実現に向けどんな気持ちで活動しているのか、各事業課と首長のコミュニケーションの中でどんなやりとりがあったかを常にヒアリングできる状態であるのが望ましい。
 
(了)(財ラボ編集部)